フェイスリフトとは
顔のシワ伸ばしの手術のことをフェイスリフトと言います。頬の皮膚がブルドックのように垂れて、鼻唇溝(ほうれい線)が深くなり、首のしわも増えてきます。ここではフェイスリフトという、頬から首にかけてのリフトについて説明します。
フェイスリフトの麻酔
腕に点滴をして眠り薬を注射します。眠っている間に顔に局所麻酔をします。このときには痛みを感じません。手術の途中で目が覚めますが、その時にはすでに麻酔が十分に効いていますので、痛みはありません。手術が終わった後も、麻酔のせいで気分が悪くなったりする事も少なく、すぐに立って歩く事ができます。その日は十分な休養が必要です。
フェイスリフトの手術方法
1)耳の前の軟骨の際と耳の後ろの陰になった部分を切開します。皮膚の下をはがして、さらにその下にある浅筋膜(SMAS)という薄い膜の下を剥がします。それを引き上げることにより、その上に乗ったたるんだ脂肪をつり上げます。われわれが行っているのはDeep plane SMAS-platysma liftという方法です。
2)首のリフトも同じ切開線から行います。
3)十分に出血を止めたあとに、血を吸い出す管を入れて、余った皮膚を切除してきれいに縫合します。
4)フェイスリフトはとても繊細な手術ですので、手術時間は4時間くらいかかります。けれどもその間はほとんど眠っていますので、ご安心ください。
フェイスリフトの手術後の経過
手術後は耳の周りと首にガーゼを当て、ガーメントという顔を包むような弾力性のある包帯をします。これは最低2日間着けます。耳の後ろに血液を出す管(ドレーン)を入れます。その日は術後の安静と患者さんの安心のために、提携病院で1泊の入院をすることも可能です。
翌日に再び当院で診察をします。そのときにドレーンを抜きます。新しいガーゼを当て、その上にガーメントを着けます。その後帰宅します。さらに次の日にチェックして問題なければ、ガーメントをはずします。この日から入浴や洗髪も可能です。
内出血のため頬や首の周りが紫色になるかもしれません。日が経つうちに黄色くなり、2週間ほどで自然に消えていきます。まぶたも結構腫れる方がいます。これも時間が経てば必ず引いて行きますので、ちょっとの間がまんしてください。術後5日目に耳の前の抜糸をします。さらに術後10日目頃に髪の毛の部分と耳の後ろの抜糸をします。その後は術後1カ月目、3カ月目、6カ月目、1年目と経過を見ていきます。術後1カ月目までが、引きつり感や皮膚のしびれ感が強く出ますが、それ以降は徐々に解消していきます。
フェイスリフトの合併症
1)術後血腫;皮膚を広くはがす手術なので、術後に皮膚の下に血液がたまって腫れる事があります。量が多ければ傷を開いて出す必要があります。紫色の内出血斑になりますが、2週間くらいで徐々に消えていきます。血液が固まった部分は少し硬くなりますが、数ヵ月の経過で柔らかくなります。
2)顔面神経麻痺:顔の筋肉を動かす神経である顔面神経のそばを手術しますので、傷つけた場合は顔の動きが鈍くなる事があります。手術直後は麻酔が効いていますので、口や目の動きが少し悪くなりますが、次の日には戻ります。
3)皮膚感覚の鈍麻:耳の周囲の皮膚をはがした部分の感覚は最初鈍い状態が続きますが、少しずつ回復してきます。触ったときのしびれ感も時間と共に減っていきます。
4)左右差・凹凸:初めのうちは腫れ方の違いのため左右差が目立ったり、頬の横の凸凹が目立つことがありますが、必ず時間とともに改善していきます。よくなるまで6ヵ月くらいかかることがあります。
5)傷の治りの遅れ:たばこをたくさん吸う人は皮膚の血液の流れが悪いので、傷の治りが遅れる事があります。
6)毛が抜ける:もみ上げの部分の毛が抜けて薄くなる事があります。しかし数ヵ月で生えてきます。
7)傷跡の盛り上がり:まれにケロイド体質の人は耳の周りの傷跡が赤く盛り上がってくることがあります。その場合にはケロイドを改善する注射を定期的にすることがあります。